3Dモデリングを1カ月間無料でやります(2014/8/11)

航空機設計を経てフリーランスへ――今、挑戦する意義

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3Dモデリングを1カ月間無料でやります――。

こんな大盤振る舞いな看板を掲げたサイト「Make1010」が立ち上がったのは2014年8月上旬のこと。イラストや図面などである程度イメージがあり、(目安として)30時間以内にできるものであれば基本的に何でも受けてくれるという。

このユニークな取り組みを始めたのは、ハードウェアエンジニア/3Dモデラーの仙頭邦章氏だ。「私は、2013年12月にフリーランスとして活動を開始したばかりなのですが、いくら3Dモデリングが得意だと口で宣伝しても、まず自分に何ができるのか“人に見せられるもの”がなければ説得力がないと思うんです。事業を本格的にやっていくためにも、自分のスキルを多くの人に知ってもらいたいと思い、この取り組みに挑戦しようと踏み切りました」(仙頭氏)。Make1010の“1010”は、名前の“仙頭(セントー)”から取ったものだが、「1010個のモデルを作る勢いで依頼を受ける」(仙頭氏)という意気込みも込められているのだとか。

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ハードウェアエンジニア/3Dモデラーの仙頭邦章氏

>>3Dモデラボに投稿されている仙頭氏の作品一覧

子どものころから算数や数学が大好きだった仙頭氏は、映画『遠い空の向こうに』に影響を受け、航空宇宙分野への興味を強く持ち、日本大学 理工学部 航空宇宙工学科へ進学。在学中は飛行機の設計・製作などに取り組み、一時は整備士の道を目指したこともあったが、設計の奥深さに魅力を感じ、航空機の設計に強いとある設計会社に入社。およそ7年間、航空機のエンジンやギアボックスの設計開発などに従事し、UG/NXを用いた設計スキルを習得するも体調を崩したことをきっかけにフリーランスへの道を歩むことになる。

フリーランスとなった仙頭氏は現在、神奈川県・鎌倉市にある面白法人カヤック(本社)のシェアオフィスで働いている。鶴岡八幡宮へと続く参道沿いにあるため、周辺は観光客でにぎわう。「都会で働くのと違いとてものんびりとしています。サラリーマン時代と比べると仕事の効率は悪いですよ(笑)。でもそれがいいんです」と仙頭氏。

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鶴岡八幡宮へと続く参道沿いに面白法人カヤック(本社)のシェアオフィスがある

サラリーマン時代、仙頭氏は毎日ひたすらモデリングをしてきた。「航空機関連の設計は特に多忙でしたね。忙しい日々を過ごしていくうちに、会社のリズムで働くことよりも自分のリズムで仕事をしてみたいという思いが次第に強くなっていきました。そして、体調を崩し、休んでいる際にフリーランスへの道を決めました。今、個人でのモノづくりやデジタルファブリケーションが注目され、1人でも少人数でも製品を作れる時代になりつつありますが、実際この分野で個人で成功している人はごくわずかです。正直、今はまだ時期が早いのかもしれません。しかし、このタイミングだからこそフリーで挑戦する価値があると思っています」と仙頭氏は力強く語る。

フリーランスになってから仙頭氏は、日本各地のFabLabを巡ったり、ビジネスコンテストやハッカソンなどにも積極的に参加したりしているという。「さまざまな分野の人と触れ合い、面白いことを一緒に考えるのはすごく楽しいですよね。そういう意味でスタートアップというものに魅力を感じます。でもその半面、収入面での不安も正直あります。だから、まずは自分を知ってもらうこと、そして、いろいろな人と出会い、つながりを持つことで、活動の幅を広げていきたいと思っています。将来は、自分の一番得意な3Dモデリングでご飯を食べていけるようになりたいですから」(仙頭氏)。

そうした思いからMake1010の企画を立ち上げた。同じシェアオフィスで働く人たちにこの企画について意見を聞いたところ「取りあえず、やってみなよ」と背中を押されたのだとか。「実は、まだ屋号もないんです。Facebookの知人からは『Studio1010(スタジオ・セントー)』なんてどうかという意見ももらっていますが(笑)」。

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ちなみに、仙頭氏が現在使用しているツールは「Autodesk Fusion 360」。フリーランスになるに当たり、ハイエンドのCADの導入も検討したがコスト面と総合的な使い勝手からFusion 360を選択したという。また、Fusion 360のデータはクラウド上にアップされるので、「将来、PC1つで場所を選ばずに3Dモデリングの仕事をしたい」という仙頭氏にぴったりなツールと言えそうだ。

現在、Make1010への依頼は少しずつ増えてきているという。「フリーミアムのような今回の取り組みがどの程度効果があるのか正直分かりません。しかし、多くの方に自分の持っている3Dモデリングのスキルを見てもらうことで、新しい仕事や新たな出会いのきっかけになればと考えています」(仙頭氏)。

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近所にある「FabLab Kamakura」。取材に訪問した際、お盆休みのため閉館していた……。なお、仙頭氏は2014年9月からFabLab Kamakuraの活動にも協力し、カヤックのシェアオフィスと連携した勉強会なども行っていく予定だとか。

リミットの8月末までまだ時間がある(原稿執筆時点)。興味のある方はMake1010に依頼を投げてみてはいかがだろうか。

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